今回の岡田ジャパンカメルーン戦勝利は、感動とともに大きな気づきを教えてもらったように思う。
それについて、長文になるが書き綴ってみたい。
孫子の兵法に敵を知り己れを知れば百戦殆うからずという言葉がある。
昨日の岡田ジャパンは、まさしくこの孫子の言葉通り、相手をよく分析して、その強みを消し、そして己れの実力を弁え、決して身の丈のあわない戦法を取らず90分堪え忍んで、もぎ取った勝利だと思う。
曾て日本は、耐えることを怠り、ほんのちょっとした油断で勝利を失った苦い経験がある。(1993年ドーハの悲劇)
そして前回のドイツ大会初戦では先制点を奪いながら後半最後の10分で立て続けに三点取られて無惨に敗退した苦い経験をした。
特に前回は、日本史上最強の戦力のチームとして期待されていた。
ジーコ監督ののもと中盤はタレントぞろいで日本版黄金のカルテットと呼ばれもてはやされた。
そして予選突破どころか引分けさえできずに予選で散っていった。
何がまずかったと振り返ってみると、身の丈にあった戦い方になっていなかった点ではと思う。
当時のジーコジャパンは、選手の自主性、創造性をピッチで発揮させてチームを強化していったとのこと。
戦法的には細かくパスを回し中盤を支配することでゲームの主導権を握って行く。
課題は決定力不足だけということで、成果をそれなりに出していった。
そして少なくともアジアのトップの地位を勝ち得るようになった
そしてその勢いとその戦法が無惨に打ち砕かれたのが前回のオーストラリア戦だった。
しかしアジアで通用した戦い方がワールドカップでは通用しなかった。
振り返るに、当時のジャパンの実力は、日本史上では最強だったかも知れないが、ワールドカップ出場国のなかではやはり弱い部類だったのではと思う。
それがまるで力が対等のような戦い方(=自分たちの強みをだせば勝てる)で挑んでいった。
相手の戦力に対して身の丈にあった戦い方になっていなかったと感じる。
今回の状況は前回と正反対だ。
もともと前回に比べて粒が小さいと言われ、なんとかアジア予選は突破したものの、競合との強化試合では結果が出せない。
最近では、ライバルの韓国に惨敗し、監督が進退伺いまで出す始末。開催前は悲観論が漂い大方が予選敗退を予想していた。
正直私も当初の予想は、ジャパンは今回のW杯では予選三連敗となり、出直しかなとさえ思っていた。
それが(失礼だが)まさかの初戦勝利。しかも海外で一勝さえできていなかったのに、強豪カメルーン相手に堂々と、
感動しながら、この勝利について考えてみると、身の丈に合った戦い方に徹したことが勝因と感じる。
岡田ジャパンは最近の敗戦続きを反省し、これまでのスピーディに細かく攻める戦法と編成を改め、手堅く守備的な戦うスタイルに短期間で変えていった。
守り一辺倒ではないが決して深追いせず、攻めすぎず、そして相手の強みを徹底的に封じ込める地味な戦法に。
かなりのばくちだったのではないかと思う。
いかし、今のジャパンを冷静にみれば理にかなっているとも思う。この戦法は、今のジャパンがワールドクラスと戦うには、決して大勝はできないが、負ける可能性も低い戦い方だと思う。
しかし、向こう受けしない。事実こういう方向に舵をきろうとした監督は”迷走”と散々たたかれていた。
その、向こう受けしないが、身の丈にあった戦法を日本はこの大舞台で見事演じきったのだと思う。
勝ったことも感動したが、得点後に約50分以上の失点をしない渋いそして粘り強い戦い方は今までになく、それがとても感動した。
成果を出すためには決して格好よくないが、見た目的にもよくないが、実力にあった、身の丈にあった、もっと泥臭くいえば、分際にあった戦い方が大事だなって思った。
※今回はトゥーリオのオウンゴールがなくてほっとしました。